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富原真弓著「ムーミンのふたつの顔」を読んで

 児童文学を読みふけった小学生時代の名残で、朝日新聞に掲載されたこの本の書評を読んで、すぐに書店に走りました。
この一冊は、まさに、現在のピリピリした日常を脱出するにはぴったりの本で、ここ数日間の緊張した日々のなかで、これを読んでいる間だけは心配ごとのない『子供時代』に戻れた気がします。

ムーミンという主人公とその仲間のアドベンチャーを文章と挿絵で作り上げた世界的に有名なフィンランドの児童文学を、実際の作り手であるトーベ・ヤンソンは、「『ムーミンシリーズ』は、たちのぼる匂い、色合い、口ぶち、気分など、子供時代という特別な時代に向かってちょっぴり開いている『扉にできた裂け目』である。」と評しています。
どこにも存在しないユートピアであるからこそ、読み手が想像の翼を勝手に広げてもかまわない、むしろどのようにも読めるのがムーミンなのです。

さすが、トーベ・ヤンソン研究家が書いた論文だけあって、この本には、初めて知った事がたくさん書かれていました。
もともとは、児童文学として書かれてはいましたが、ムーミンが現在のように世界にしられるきっかけとなったのは、当時1200万部という世界一の発行部数を誇っていた英国新聞・イブニング・ニューズの4コマ漫画がきっかけだったそうです。そして、この連載は、1954年から75年まで、なんと、20年以上、週6回にわたって連載したそうです。

日本では、児童文学よりアニメのムーミンが有名ですが、あのほのぼのしたムーミンは、日本人スタッフによって作り上げられた、原作とはちょっとちがうキャラクターなのだそう。その証拠に、2回目のアニメはトーベ・ヤンソンの意をくんでもっと大人っぽく描かれていて、1作目とは全く違うキャラクター。もちろん人気があったのは、1作目なんだそうです。

そして、イギリスのムーミンは、原作よりもっと人間身溢れています。
それは、ムーミン一家がフレンチ・リヴィエラのリゾートにいったときの出来事。
ママはあてがわれたスイートルームが広すると感じ、天蓋付きベッドの下にすべての家具をもってきて過ごしたり、パパは見栄っ張りで自分の姓に貴族の称号、VONをくっつけてしまったりとか。
また、お水にも値段がついているのにびっくりしたりとかビーチがホテルのプライベートの敷地であることなど、自然に溢れたフィンランドと高級リゾートの差がここにも現れているみたい。小市民的な事も、イギリス市民に受けた理由なのだとか。

ムーミンを読んで自分を知ったのは、少女時代の憧れのスナフキンは、実は、日本人が最も愛するキャラクターで、アニメではムーミンより人気があったんだそうです。
ひょうひょうとしてニヒルで、ハーモニカーをギターに持ち替えたスナフキンは、吟遊詩人にも夕日を背に去っていくマカロニ・ウエスタンにも似ていなくて、ずんぐりむっくりの他のキャラクターのなかで、明らかに異彩を放ち、いざというときに的確な助言も惜しまない。変わり者だと思っていたスナフキンが、白馬の王子様タイプだなんて?!

スナフキンにリチャード・ギア、他、要するに、わたしはステレオタイプな男性に子供の頃から憧れ続けていたわけです・・・・。

ちなみに、スナフキンとミーは異母兄弟じゃないからね、田中玲子さん!!

伝統にしばられているフィリフヨンカが、漠然とした外的で自然的な不安、内在化された心理的な不安に襲われ、そしてその不安が表面化されて竜巻によって先祖代々のこまごまとした品物と一緒に、自分の不安もふっとんでしまう。
彼女のなかでふくらんでいった不気味な不安がきれいさっぱり追い払ってくれた以上、もはや何も恐れる事はない。
忘我の境地に達した後は、1からで直そうと腹をくくるシーンは、まさに今の日本の復興を応援するような場面です。
現実は、なかなか、文学のようにすんなりとはいかないのが本当ですがねえ・・・。

ムーミン谷が世界に愛される理由は

「それぞれが堂々と我が道をいき、互いに干渉したりしない。たとえ仲のよう家族であっても、求められていない忠告をしたり、相手が話したがらないひみつを聞き出そうとしない。寛容であれ。これがムーミン谷で守るべき唯一の掟である。
自分が自由であるために。互いが自由であるために。」

自由と孤独は背中合わせ。
人は、彼らのように干渉しないでいること、孤独で居続けることが、案外難しいからこそ、
文学の世界にひととき身を投じるのかもしれませんね。



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