<< パリ、モンパルナス、アールデコ時代の画家 vol.4 | main | パリ、モンパルナス、アールデコ時代の画家たち vol.6 >>

スポンサーサイト

  • 2017.02.20 Monday
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

一定期間更新がないため広告を表示しています


パリ、モンパルナス、アールデコ時代の画家たち vol.5

 
アール・デコ時代の芸術家は、マルチな才能に長けた人が多いようにおもいます。
ピカソは、絵画だけでなくカンヌ近郊のヴァロリス窯で数々の陶芸作品を創作し今に残していますし、ロシアバレーの舞台の緞帳もすばらしく、長年、芸術家発掘に命をかけていたディアギレフを驚嘆させました。

また、舞台装飾も手掛けた建築家、マレ・ステヴァンス率いるUAM(union art moderne)は、昨日書いた、ピュイフォルカはもちろん、ポスター画家のカサンドル、ル・コルビジエ、他、多才なアーティストばかりが名を連ねています。

マレ・ステヴァンスは、当時の社交界の花であり、アーティストのパトロンでもあったシャルルとマリー・ロール・ド・ノワイエ公爵夫妻の内装などを務める傍ら、「人間失格」「心の悪魔」といったマルセル・エルビエの映画のセッティングも製作しています。どの内装にも、スタイリッシュなメタルやシャープな直線が多用されているのが特徴です。
1923年のエルビエの「人間失格」には、フェルナン・レジェ(画家)、ラリック(硝子作家)、ジャン・リュス(陶芸家)、レイモン・タンンプリエ(ジュエリーデザイナー)といったそうそうたるメンバーが起用されています!
アールデコのアーティストたちは、当時発達した映画や雑誌といった「メディア」を上手に用いて、自らの作品を世に知らしめました。
このあたりも、アールデコのアーティストのひらめきの良さなのです。

UAMのメンバーに、タマラ・ド・レンピッカの妹が所属していた関係からか、彼女は夫と別れてモンパルナスのメシャン通りに引っ越すことになって、人も招待できる住まい兼アトリエの内装をマレ・ステヴァンスに依頼します。レンピッカの肖像写真の舞台にもなったこのアトリエのまあ、モダンなことといったらありません!
同様に、血の通わない冷淡なまでに冷たい印象を受けるのもたしかです。
このあたりもアールデコ時代のアートの多面性です。
イラスト雑誌「ガゼット・ボントン」のように愛らしく、甘いパステルカラーに溢れた作品もある傍らで、メタル、硝子、石といった硬質で男性的な作品もあるのです。

レンピッカの娘ギゼットの存在は、仲の良い人にも隠されていたというのですから、強く奔放な母には絶対服従の虐げられた娘だったのでしょう。どんなに突き放されても血のつながりは切れないもの。娘が母を慕う想いはつのるばかり。
1929年。クリスマスになってもアメリカから戻らない、飛ぶ鳥を落とす勢いの女流画家の「冷たい家」に残されたレンピッカの母と娘。
孫を不憫に思った祖母は、レンピッカの大事な帽子のコレクションをただただ無言で暖炉にくべたそうです。

そんな耐える娘、ギゼットちゃんの洗礼式の絵や大人と子供の間を行き来する「ピンクの服を着た少女」は、一種独特の魅力に溢れています。
そして、大人になったギゼットちゃんを描いた「緑の服の女」。別名「へそ」ともよばれるかなたを見つめるこの絵の官能的な女性は、生涯強い母のマネージャー的存在だったそうです。
「女王」である母の強さも弱さもすべて受け止める出来た娘、ギゼットちゃん。
こんな背景もしって「レンピッカ展」を観るのも一興です。


森部奈美さんのブログもご覧下さい!
http://ameblo.jp/petitcenacle-nami/



278  rue Vaugirard 75015に現存するマレ・ステヴァンスの建築物。
現在パリに残るのはこの1軒のみ。



JUGEMテーマ:アート・デザイン
JUGEMテーマ:グルメ
JUGEMテーマ:PARIS


スポンサーサイト

  • 2017.02.20 Monday
  • -
  • 14:12
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
レンピッカ展 夏木マリ音声ガイド Bunkamuraザ・ミュージアム
3/15の「誘拐ラプソディ」の最終試写に行く前 http://take-it-ez.at.webry.info/201003/article_16.html Bunkamuraザ・ミュージアムで3/6-5/9美しき挑発レンピッカ展、本能に生きた伝説の画家を見てきました。私は美術館にいくといつも音声ガイドを利用するのですが、
  • Take it ez !
  • 2010/03/22 12:46 AM
calendar
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>
Petit CENACLE
「プティ・セナクル」「石澤季里アンティーク・エデュケーション」では毎回その道の専門家を迎え、経験豊かで探究心旺盛な都会の大人たちの欲求を満たす、個性溢れるカルチャーサロンを主催しています。
www.antiqueeducation.com
プティ・セナクルの旅カルチャーコース

2016/11/19〜11/26
旅して学ぶ貴族の暮らし「パリ、ヴェルサイユ、ロワール地方で18世紀のシャトーライフを体験 マリー・アントワネットの幸せ人生を辿る旅」の詳細はこちら


プティ・セナクルの本
2012年6月8日発売

「これから愉しむアンティーク ヴィクトリア朝」(メディアパル) 監修:プティ・セナクル/蜷川浩史・石澤季里・大原千晴・木本玲子・中島正晴、文:植田裕子/石澤季里
プティ・セナクルへのリンク
selected entries
categories
archives
recommend
パリ&パリから行く アンティーク・マーケット散歩 (FIGARO BOOKS)
パリ&パリから行く アンティーク・マーケット散歩 (FIGARO BOOKS) (JUGEMレビュー »)
石澤季里
2012年6月発売

掘り出し物に出合えるマーケットや蚤の市はヨーロッパ旅行の大きな醍醐味。せっかくパリまで行くのなら、近郊の個性派マーケットもめぐってみよう。定番のクリニャンクールからブルゴーニュのアットホームな大市、さらにブリュッセルやアムステルダムのマーケットも。
街歩きを楽しみたいアンティーク・ストリートも厳選して紹介。
recommend
これから愉しむアンティーク ヴィクトリア朝―なぜ生まれ、どう使われてきたのか (-)
これから愉しむアンティーク ヴィクトリア朝―なぜ生まれ、どう使われてきたのか (-) (JUGEMレビュー »)
植田 裕子,石澤 季里,プティセナクル
2012年6月発売

監修:プティ・セナクル/蜷川浩史・石澤季里・大原千晴・木本玲子・中島正晴
西洋アンティークのプロが語る、今ひそかにブームになっているわかりやすい入門書。ホームズやアリスがいたころのヴィクトリア朝の家具・食器・時計について全くの初心者の方でもわかりやすく、そして面白く解説した初めての本です。
recommend
パリ 魅惑のアンティーク (madame FIGARO BOOKS)
パリ 魅惑のアンティーク (madame FIGARO BOOKS) (JUGEMレビュー »)
石澤季里
2009年10月発売
大好きなパリの街で、自分だけの“とっておき”を見つけよう。あこがれのエルメス・ヴィンテージから、気軽に買えるキッチン用品や文房具、さらにアンティークなビストロやホテルまで、個性溢れる“古きよき物たち”に会いにいこう。全36ショップを紹介。
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
profile
links

PearlyBLOG



la note


ヨーロッパスローライフ −インテリア自由気儘空間−
search this site.
recent comment
recent trackback
sponsored links
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM