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2015年修学旅行日記VOL.6

JUGEMテーマ:ヨーロッパ

もうひとつ、フェラ岬の穴場スポットが、私がこよなく愛するマルチ・アーティスト、ジャン・コクトーが1950〜63年まで年半分を過ごしていた「サント・ソスピース」荘。ソスピールとは、ほっと一息つくとかため息の意味。そう、この館は訪れる人を優しく包む「聖なるため息」の館なのです。

つい最近までは、ここにはオーナーだったマダム・フランシーヌ・ヴェズベレールが住んでいましたが、彼女が亡くなってからは、娘のキャロルさんによって予約制で公開されるようになりました。彼女がコクトーについて書いた本「ムッシュ−・コクトー」(東京創元社)はとても面白いので是非お勧めです。

わたしは、25年程前、偶然、フェラ岬を取材して歩いていたときにここを見つけ、たまたま仕事していた庭師の方のご好意で雑誌「シュプール」のために撮影したことがあります。そのとき、最も感動したのがフランシーヌさんの寝室の絵画。寝室へ誘う階段には眠りを誘う芥子(アヘン)の花が描かれ、コクトーの創造力の豊かさに圧倒された想い出があります。

コクトーがカルティエの3連指輪をデザインしたことは有名ですが、これは若き愛人レーモン・ラデュゲとの婚約指輪としてデザインされました。でも、ラデュゲがシャネルとコクトーの当時のパトロン、ミシア・セールに看取られながら腸チフスで亡くなり、そのときは3連指輪が作られることはなかったそうです。この指輪は、ロシア正教の三位一体を表し、もとになるデザインはロシアにあったのだとか。ロシアバレーとも所縁の深いコクトーは、どこかでそれを見た事があるのかもしれませんね。
そして、50年代になってから、コクトーと彼の最後の愛人で養子でもあったドゥドゥことエドワード・デルミッド、そしてフランシーヌさんは三角関係を表現してカルティエの三連指輪が作られ、この3人の指にはその指輪が輝くようになったのです。

フランシーヌ・ヴェズベレーとコクトーの出合いは1949年に遡ります。当時、彼女の夫のアレックの従妹、ニコル・ステファンことニコル・ド・ロスチャイルドは、コクトーの映画「恐るべき子供たち」のヒロイン、ベトリスを演じていました。そうした経緯で、映画監督のジャン・ピエール・メルヴィユが最後の場面を撮影する大きな邸を探しているのに、アレク・ヴェズベレー氏がパリ・アメリカ広場の大邸宅を提供したのです。また、この映画のヒーローは、ドゥドゥが演じました。


コクトーは、青い目のブロンドで18世紀的なフランシーヌのエレガントな物腰にすっかり心を奪われたそうです。そして、1950年に初めてフェラ岬のサント・ソスピールに招かれ滞在することになります。コクトーとドゥドゥは最初の1週間で何もすることがない事に飽き飽きし、フランシーヌの許可を得て、別荘の壁に昔のフレスコ画の技法で絵を描きはじめました。
そして、1年弱で、家中の壁が入れ墨を入れたようにコクトーの絵で埋め尽くされたのだそうです。




その後もコクトーはこの場所を愛し、フェラ岬からほど近いヴィルフランシュの教会の内装も、また、マントンの区役所の内装もすべてここから通って描きました。そして年の半分はここに暮らし、13年もの月日を費やしました。ここには、彼の友人、ピカソやマチス、ビュッフェやプーランク、そしてアガ・カーン王子やピエール・カルダンなどなど、多くの有名人が訪れ、南仏の社交場となりました。また、彼らは同様にパリの合衆国広場の大邸宅にも集ったそうです。その様子を、現在、バカラ美術館になっているマリー・ロール・ド・ノワイエは苦々しい想いで見守ったそうです。なぜかといえば、それより前は彼女がパリ社交界のサロンの女主人でありコクトーのパトロンだったから。彼女は、その椅子をフランシーヌに奪われたことに嫉妬したのですって。
コクトーは、才能がありながらもいつもお金に苦労していて、常にパトロンを必要としていました。
彼自身はとても紳士で気が弱く、あんなに素敵なのにも関わらず、自分の容姿に全く自信がなかったのだそうです。

「ピカソは流行よりも早く走り、あらゆる社会の扉を開いていく。僕にはその才能がないから、閉じた扉に描くしかないんだ」といって、彼はサント・ソスピールの扉に絵を描いたのだそうですよ・・・。

それにしても、改めて訪れてみて静かで海が見渡せて本当に気持ちのよい別荘でした。コクトーが生きた時代にここを訪れたかったな。できれば、彼やドゥドゥ、また、彼の仲間達の会話を同じ輪のなかで聴いてみたかった。そんな感情が芽生えました。

 

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