美人で真面目そうなのに、ときどきずっこけた役柄をこなす魅力溢れる女優さん、ミッシェル・ファイファーは、宝塚出身のアマミ・ユウキ同様、好きな女優さん。
そのミッシェル・ファイファーがベルエポック期のフランスを舞台に、美しい高級娼婦役で登場する映画が「シェリ・私の愛しい人」。
ロードショーを見逃したので、先週末、DVDを借りてみることにしました。
原作は、夫がありながらも薄衣で踊り子として舞台に出演したり、両性愛者としても知られるコレット。ジャン・コクトー同様、パレ・ロワイヤル広場に面したアパルトマンに暮らしたことでも有名です。
数々の愛人を持ち、貴族やブルジョワとも負けず劣らずのセレブな暮らしをしているミッシェル・ファイファー演じるヌヌー(ぬいぐるみの意味)は、中年にさしかかり(といっても、きっと30代後半という設定なんでしょうが)今ではほとんどお客を取ることはなく、彼女の友人娼婦の息子を「しつける」という名目で、6年に渡って愛人関係を結んでいる。
その恋人、シェリは、まだ20代そこそこで、お金もなくあるのは、その美貌と美しい肉体。
そんな彼にも、持参金目当ての結婚がきまる。相手は、これまた別の高級娼婦の娘。
ヌヌーと比べて世慣れしない若き花嫁に嫌気がさし、2ヶ月に渡るイタリアの新婚旅行から戻るとその脚でヌヌーのアパルトマンに飛んでいく彼だが、そこにヌヌーの姿はない。
ヌヌーは傷心を探られるのもプライドが許さず、女中をかしずいて、一人ビアリッツのホテル・ド・パリにバカンスに出かけた。そこでもまた、マッチョな若い愛人を作るのだが、
シェリを心から愛していた彼女は、そんなラブアフェアにも気分が浮かない。
そんなとき、パリから彼女の元に、ハネムーンから戻ったシェリが花嫁と折り合いが悪く蒸発したという知らせが届く。
「やっぱり彼も同じ想いだったのだわ」と喜び勇んでパリに戻るヌヌー。
ところが、ヌヌーが戻ったことですっかり安心したシェリは、初めて花嫁を愛し彼女と面と向かって暮らしていくこと決めるのだった。
ヌヌーのもとを訪れるシェリ。「僕にはやはり貴女しかいない」と以前同様に一夜を過ごした翌朝、彼が見たものは嫉妬に狂うひとりの年老いた中年女性だった。そんなヌヌーにシェリは、「嫉妬をしないで。麦のヌヌーは、いつも優しくて僕を許してくれる素敵な女性なんだから・・・」と。そして、妻と彼女のところを行ったり来たりしたいと願う。
わがまま放題に彼を「しつけてしまった」ことを今更ながら反省し、「彼女を哀しませないで」と身を引く決意をするヌヌー。今度は振り返らず、去っていくシェリ。そして、ヌヌーはピストル自殺を遂げる。
ざっとしたあらすじはこんな感じです。しかしながら、
なんと、まあ、「若くて美しく、都合のよい」シェリに腹のたつ映画でした。
そんな内容はともかく、
シェリの住むアパルトマンは、よく探したもの!と拍手喝采したくなるアール・ヌヴォー建築。内装は、壁紙から家具、調度品まで、その当時をよく反映した優れものです。
アール・ヌーヴォーって時期も短いし、ここまで完璧に揃えるのは難しいとおもうのです。
当時流行したサンルームでアールヌーヴォーの陶器を用いながらのアフタヌーンティーなど、ところどころに、当時、絶大な人気を誇った女優、サラ・ベルナールの家を彷彿させる部分もあって見所満載。
また、モダンでスタイルのよいシェルがいち早く、流行のポアレ風のコルセット無しのドレスを着ているところも見逃せませんよ。
小柳ルミ子とその夫(古いか)の行く末をみているようで切ない「シェリ・私の愛する人」。男性は甘やかしてはならないという教訓に満ち満ちた内容も(笑)
見応えありです。